
ADAM Audio D3V、かなり話題になってるので実際に購入して使用してみました。
「そんなにいいか?」って疑問を自分の考えと体験からレビューします。
実際の設置環境、USB接続の限界、低音のクセ…。このブログでは、そんな生々しい感想を正直に書いてみようと思う。
はじめに:D3Vへの疑念からスタート
ADAM Audio D3Vの発売日は2024年10月25日。発売前からちょこちょこ話題になっててSNSでも盛り上がっててほんとにいいのかずっと気になってました。
スペックだけみたら驚異的。このサイズで低域はiloud micro monitorと同じ45hzまで出てUSB-Cでオーディオインターフェース機能搭載とかガジェット好きとしてはこういう“野心的な小型モニター”ってつい試してみたくなるよね。
ADAM Audio D3Vの主なスペック
カテゴリ | 詳細 |
---|---|
音響特性 | 周波数特性(-3 dB):48 – 22.6k Hz 周波数特性(-6 dB):45 – 23.2k Hz 最大SPL(1 m、100 – 6k Hz、3% THD):92 / 96 dB SPL クロスオーバー周波数:4.0 kHz |
ドライバー | パッシブラジエータ径:2 x 3.5インチ ウーファーコーン:一体成形アルミニウム ウーファーバスケット径:3.5インチ ウーファーボイスコイル径:1インチ (25 mm) ツイータータイプ:D-ART |
オーディオ入力/出力 | アナログ入力:2 x バランス6.3 mmジャック 最大入力レベル:+9 dBu デジタル入力:USB-C サンプルレート:32, 44.1, 48 kHz ビット深度:24ビット ヘッドフォン出力:3.5 mm TRS、32Ω |
信号処理 | ADコンバーター:24ビット 内部サンプルレート:48 kHz 内部処理ビット深度:28ビット レイテンシー:4.0 ms 保護機能:独立ピーク&サーモリミッター |
増幅 | ウーファーアンプ:70 W RMS、80 Wピーク(10% THD) ツイーターアンプ:30 W RMS、40 Wピーク(10% THD) |
コントロール | 入力感度:0 dBu = 88 dB SPL at 1 m @ 0 dB設定 レベル調整:-∞ dB~+6 dB ルームアダプション(低音/中音/高音):0, -3, -6 dB / 0, -2, -4 dB / 0, -1.5, -3 dB |
キャビネットデザイン | デュアルパッシブラジエーター構造 材質:塗装ABSポリカーボネート 設置方法:デスク、スピーカースタンド、マイクスタンド対応 |
電源仕様 | AC入力電圧:100 – 240V 定格電力:最大60 W |
寸法・重量 | 高さ:200 mm(スタンド使用時240 mm) 幅:115 mm 奥行:150 mm 重量:左1.85 kg / 右1.73 kg |
付属品 | 左右モニター、スタンド、デスクトップパッド、リンクケーブル、電源ユニット、USB-Cケーブル、USB-Aアダプター、ガイド類 |
細かいスペック、仕様は割愛します。
実際に使用してみて
専用スタンドを取り付けてデスク置きでインターフェースからTRS接続にて聞いてみました。距離は80cm。
正直、そんなによくない(笑)
本体のスイッチ類はすべてオフ(上)で聞いてみたのですが中音域が出すぎでもこもこスモッグ王国状態でした。その状態でしばらく聴いていたんだけど、ボーカルやギターの輪郭が埋もれてしまって「何か前に出てこないな…」って印象が強かった。
特にアコースティック系とか、音数の少ないトラックだと中域の”もっさり感”が目立ってしまう。
特にデスク鳴りがひどすぎて聞けたもんじゃないので底面のネジ穴を使用してスピーカースタンドに設置してみました。

結果、机の共振が減って改善!めっちゃクリアでいい感じ!でもまだ中低音域が出すぎててこもりがち。
そこでEQ補正スイッチを試してみることに。まずはDesk(デスク補正)だけオンにして再度チェック。
すると、少し低域が引っ込んで音像の輪郭が見えてくる。中域の濁りはまだ残ってるものの全体的なバランスは改善。
さらにHigh Boost(高域ブースト)もオンにすると高域に抜けが出て「おっ、ちょっとスモッグ晴れてきたか?」という感じに。
ADAM Audioの代名詞とも言える“リボンツイーター”は、D3Vでもしっかり健在。
1.5インチのD-ARTツイーターが搭載されていて、高域の解像感や滑らかな抜けは、まさに“あのADAMらしさ”を感じられるポイント。
スネアの抜けやシンバルのキラつき、ボーカルの息遣いまでしっかり届いてくるあたりは、コンパクトだからといって妥協していない。
サイズは小さくても、「空気が抜ける感覚」がちゃんとある――これは他の小型モニターではなかなか味わえない。
ADAMファンなら間違いなくニヤッとしちゃうね。
D3Vの低音域の再現力、正直ビビった。
本体サイズは手のひらより少し大きいくらいなのに、鳴った瞬間に「えっ、これ本当にこのサイズから出てるの?」って思ったくらい、深くて力強い低域が響いてくる。音が下から湧き上がってくるような感覚で、体にじわっと伝わってくるんだよね。
特に印象的だったのが、両側面に搭載されたパッシブラジエーターの存在。ただの“サイズなり”の低音じゃなく、空気の動きを伴った“箱鳴り”感があって、小型スピーカーの限界を一段突破してる印象。Kickの沈み込みもズドンとくるし、ベースも「太い」じゃなくて「深い」。
Micro Monitorも素晴らしいんだけど、低域の表現に関しては完全にD3Vの圧勝。比べ物にならない、全くの別物って感じがしました。Micro Monitorは「自分まだまだやれます!うぉおおおおお」って感じでかなり無理してる音に対して、D3Vは音の量感も質も豊かで自然。「このサイズでこの鳴りは反則でしょ…」って思わず声が出たレベル。低価格帯の5インチスピーカーよりも再現力は高いんじゃないだろうか・・・僕はd3vのほうが好き。
こういう言い方は良くないかもしれないけど、低域だけ見れば価格以上の価値があると思えるし“小型スピーカーの常識を塗り替える一台”だと思いました。
パッシブラジエータってすげえ。
まとめ
いや、凄すぎました。ADAM Audio D3V、めちゃめちゃいいです。
タイトルだけ見て「逆張りレビューか?」と思った人、ごめんなさい。全然そんなことなかったです。
どちらかというと、持ち上げられすぎてる感があったからちょっと冷静に距離を取ってみよう…みたいなスタンスだったんだけど、ふたを開けたら素直に感動してました。
「このサイズで本当にここまで鳴る?」って何度も思ったし、EQ補正とセッティングを工夫すれば中域もそれなりに整ってくる。
D3Vって”逆張りしたくてもできない音”なんですよね。悔しいけど好きになっちゃいました。
注意点もいくつかあって、特に“デスク置き”はあまりおすすめできないです。
僕の環境では、スピーカーを専用スタンドに載せて約80cmの距離で試聴したんだけど、デフォルト状態だと中音域が強すぎてバランスが崩れるんですよね。
EQスイッチをすべてオフにした状態で聴くと、ボーカルやギターが前に出すぎて、空間の抜け感が無くなってしまって…。まるで部屋が“もこもこスモッグ王国”になったような感じでした。
リスニング用途なら、慣れてくればそれも味として受け入れられるかもしれないけど、正確なモニター用途として使うのはちょっと厳しい。
専門的な作業、特に定位や音のレイヤーを細かくチェックするような場面では、中域の膨らみが邪魔になることがあるかも。
設置環境による影響が大きい製品なので、ちゃんと距離を取る・EQ補正を使いこなす・可能なら壁との反射を抑えるなど、工夫が必要です。
あと、意外と盲点なのが“低音による音漏れ”。
D3Vはサイズからは考えられないほど低域が深く出るので、特に賃貸環境では注意が必要。Kickやベースがしっかり沈むぶん、壁や床への振動が伝わりやすいんですよね。
体感としては「鳴ってるというより、響いてる」という感じなので、夜間に音を出すと隣室や階下に届いてしまう可能性もありそう。
対策としては、スタンド使用で床から浮かせる・壁との距離を確保する・防振マットを敷くなど、できるだけ響きにくい工夫をすると◎。
D3Vの魅力を存分に活かすためにも、設置場所と鳴らす時間帯はちょっと意識しておいたほうがいいかもです。
ちなみに、スタンドは絶対使ったほうがいいです。
これはもう断言できます。D3Vの性能をフルに引き出そうと思ったら、スタンド使用が鍵になります。直接デスクに置いたままだと、どうしても中音域が盛り上がってしまい、定位が甘くなったり、音の広がりが抑えられちゃうんですよね。
一度スタンドに載せて、耳の高さ&壁からの距離も調整したら、「これ、ホントに同じスピーカーか?」ってくらい音が変わった。空間が広がって、音の分離も見違えるほどクリアに。もはや性能20000%引き出してる感覚です。
D3Vの魅力って、サイズを超えた出力と解像感にあると思うけど、それを実感できるかどうかは設置環境に大きく左右される。だから、スタンドの導入は“オプション”じゃなくて“前提”くらいに考えたほうがいいかも。

↑公式もジャケットでがっつりスタンド使ってた(笑)そういうことですね。
初心者におすすめかどうか
D3Vって初心者におすすめか?って聞かれたら、ちょっと悩むところ。
僕自身は、EQ補正をいじったりスタンドを使って耳の高さを合わせたり、ある程度調整する気があったから「アリ」だと思えた。
でも何も考えずに“デスクにポン置き”しただけだと中音域が盛りすぎてバランスが崩れる。モコモコの音像が広がってしまってせっかくのスペックが台無しになる印象。
なので「音にちょっとでもこだわりたい初心者」にはおすすめできるけど「とりあえず鳴ればOK」ってスタンスなら他の選択肢のほうが扱いやすいかも。
EQ補正がスイッチ式だからソフト操作に慣れてなくても簡単に設定できるっていうメリットはあるけど“調整ありき”の製品であることは間違いない。
USB-C接続でオーディオインターフェース不要っていうのは確かに魅力。
特にまだインターフェースを持っていない人や配線をシンプルにしたいライトユーザーにはありがたい機能。PCと直結してすぐに音が出せるし設定もほぼ不要。
でもいざTRS接続と聴き比べてみると明らかに音質に差が出てしまう。音場の広さ、定位の正確さ、解像感――どれをとってもTRSのほうが一枚上。
USBのほうは便利だけどどうしても“平坦で情報量が削られた感じ”になってしまって、「あ〜、もったいないな…」って気持ちが出てくる。
実際のところ、USB接続は“おまけ機能”くらいに考えるのがちょうどいいかも。
音楽制作やシビアなモニター用途だと実用としてはちょっと厳しい。あくまでラフなリスニング用、あるいはサブ機的な運用がメインになると思う。
もし、初心者でまだインターフェース持っていないならそっちを先に手に入れるのがいいかも。
デスクにポン置きでラフに使いたいならiLoud Micro Monitorのほうがおすすめかな。Bluetoothもついてるし。音も結構いい。
以上です。
ではまた。